膝関節外科
膝関節外科では、膝の関節に痛みや変形、違和感があるといった患者様を対象にした外来です。
膝関節の外傷と障害を対象としていますが、スポーツによる膝の外傷(半月板損傷、前十字靭帯損傷、膝蓋骨亜脱臼)につきましては、スポーツ整形外科で対応いたしますので、多くは膝の障害となります。
主に変形性膝関節症、関節リウマチ、膝骨壊死、若年層における軟骨病変などが対象となります。
膝関節外科の代表的な疾患
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症の患者様は日本では約2800万人いるのではないかと推定されています。
その多くの99%の方は軽症もしくは中等症であり、手術が必要とされる重症の患者様は約7万人と言われています。
なお同疾患は、日本人の平均寿命が伸びるようになって患者数が急速に増えたとも言われています。
同疾患は膝関節の軟骨が主に加齢や使い過ぎにより摩耗していくことで、関節炎や変形が生じていき、膝に痛みが現れるほか、水が溜まるなどの症状がみられます。
なお膝の痛みや腫れ、動かしにくさについては、軟骨のすり減り具合により変わってきます。
主な原因は関節軟骨の老化であり、年齢とともに患者数が増加するほか、肥満や素因(遺伝子)も関与していると言われています。
このほか女性は男性の約4倍の患者数であることも指摘されています。
初期症状としては、階段の下り、あるいは立ち上がり・歩き始めといった動作の開始時にのみ痛みがあり、休めば痛みが消え、動き始めると痛みをさほど感じなくなります。
しかし、症状が進行すると歩行中も痛みを感じるようになり、膝関節の曲げ伸ばしにも制限を感じるようになます。
さらに重度になると、安静時にも痛みがとれなくなり、膝関節の変形も目立ってきます。
また、膝を伸ばして歩くといったことも困難になり、ロコモティブシンドロームとなる可能性があります。
治療について
変形性膝関節症は大きく保存療法と手術療法に分けられます。医師の判断により以下の治療が行われます。
保存療法
患者様の訴えや症状によって、いくつかの治療法を組み合わせることもあります。
- 1. 運動療法
- 膝周辺の筋肉を鍛えることで、膝の痛みの悪循環を改善するために重要です。整形外科医の指示で、理学療法士らが指導(運動器リハビリテーション)していきます
- 2. 筋肉運動やストレッチ
- 器械を使い、短時間で有用な膝関節周囲の靱帯や関節に好循環を与えます。
- 3. 物理療法
- 器械を使って血液の循環をよくし、筋肉疲労の改善をはかります。
- 4. 有酸素運動
- 体重減少により、メタボの改善とともに、膝関節の負担を減らします。
- 5. ヒアルロン酸関節内注射
- もともと生まれたときから人体に多く存在するヒアルロン酸は、年齢と共に減ります。そのため関節内にこれを注入することにより、関節内保護作用、抗炎症作用が働くので関節破壊の進行予防が期待されます。当院では、より長期に抗炎症作用があるといわれるPRPFD関節内療法(自費)も行っていますので、ご相談ください。
- 6. 消炎鎮痛剤(内服、外用剤)、ステロイド関節内注射
- 炎症の程度により、患者様と相談しながら使用します。
- 7. 慢性疼痛治療薬
- 進行した変形性膝関節症で、痛みの悪循環が生じる可能性があるとき、患者様と相談しながら使用します。
手術療法
保存療法のみでは改善効果が見られない場合は、手術療法が検討されます。
患者様と相談し、関節鏡デブリードマン、骨切り術の適応があれば、近隣の医療施設を紹介します。
また人工膝関節手術の適応がある患者様につきましては、希望があれば提携病院にて当院長が責任をもって手術を行います。