脊椎疾患とは
脊椎とは背骨を構成する一つひとつの骨のことで、背骨(椎骨)は、頸椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙椎(5個)、尾椎(3~5個)から成り立っています。
これらを合わせて「脊椎」と呼び、この脊椎の中の脊柱管を脊髄が通っています。
脊髄の中には、脳から発せられる指令を伝える神経や、逆に感覚の情報を脳へと返す神経、心臓や消化器などの運動を調節する神経など、いろいろな神経が走っています。
この脊髄が交通事故などで損傷されると、ダメージを受けた神経は回復することができず、その脊髄の部位が脳に近ければ近いほど、ダメージを受ける神経の範囲は広がるようになります。
なお脊椎疾患には、交通事故などによる頸椎捻挫(むち打ち症)をはじめ、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離症、頸椎症など、首から腰の疾患や、上肢・下肢の痛みやしびれを伴う疾患などがありますが、当院ではこれらの診断・治療を行います。
患者様の訴えや実際に現れている症状、あるいは検査結果などを元に総合的な診断を行い、患者様にとって最適な治療を(運動療法、物理療法、注射療法、薬物療法、装具療法など)をご提案いたします。
脊椎疾患の代表的な疾患
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、椎体の変形や靱帯の肥厚、椎間板の変性などにより脊柱管が狭小化することによって、その内部にある神経根や馬尾(ばび)を圧迫、それにより下肢の痛みやしびれ、間歇性跛行を訴えるようになります。
高齢者においての有病率は10%(約580万人)と推定されています。なお、同疾患が疑われる場合は腰椎MRI検査(近隣提携施設)で診断をつけます。。
発症している方の中で、重度の狭窄を有する患者様は全体の30%近く存在すると考えられていますが,そのうち症状を呈する方は約20%と言われています。
長年スポーツや肉体労働などで体を酷使しているのであれば、誰しもがいつかは、程度はともあれ狭窄症になると考えられています。
治療について
腰部脊柱管狭窄症では、まず保存療法が行われ、それでも症状が改善しないようであれば、手術療法が検討されます。
保存療法
患者様の訴えや症状によって、いくつかの治療法を組み合わせることもあります。
- 1. 運動療法
- 腰背部、腹部周辺の筋肉を鍛えることで、腰の痛みの悪循環を改善するために重要です。整形外科医の指示で、理学療法士らが指導(運動器リハビリテーション)していきます。
- 2. 筋肉運動やストレッチ
- 器械を使い、短時間で有用な腰背部、腹部、骨盤周囲筋に好循環を与えます。
- 3. 物理療法
- 器械を使い、血流をよくし、筋肉疲労の改善をはかります。
- 4. プロスタグランジン製剤内服、トリガーポイント注射、カルシトニン製剤の注射
- 痛みが緩和され、歩行能力の改善が期待されます。
- 5. 強い痛みで生活に支障をきたしている場合
- 消炎鎮痛剤、末梢神経障害性疼痛薬、慢性疼痛薬、神経ブロック注射(仙骨ブロック)で相談しながら痛みの緩和をはかります。希望で近隣ペインクリニック紹介もします。
手術療法について
当院や他院での保存療法では痛みがなかなか改善せず、他の治療や手術を考えられている患者様には、当院の非常勤医師(水曜日午後)、横浜鶴ヶ峰病院整形外科部長でもある武藤治先生(日本整形外科学会が認定する脊椎脊髄病医)の診察をお勧めしています。