痛みの悪循環
私は、多くの変形性膝関節症の患者様を診察してきました。ほとんどの患者様は、痛みの悪循環を呈していました。
膝が痛いと、まず歩くのはおっくうになります。そうすると運動不足となり、筋力が低下していきます。膝に負担が加わることになります。
負担が加わると、さらに軟骨がすり減ります。痛みが増すことになります。
それが長期間となると自律神経のバランスが崩れ、交感神経の緊張が過度に強くなり、やがて随所で血液の循環が悪くなっていきます。
これにより、新たな発痛物質(痛みを引き起こす化学物質)が多く溜まるようになり、さらに強い痛みや新たな痛みが発生することで「痛みの悪循環」が形成されるようになります。
まずは、筋力トレーニング(膝は、大腿四頭筋中心、腰、頸は周囲の筋力アップです。)
当院では、このような悪循環に陥らないためにも速やかに原因を究明し、痛みを除去する治療として、ヒアルロン酸関節内注射、トリガーポイント注射、薬物療法などの治療法を用います。
痛みがいつまでたっても解消されずに悩んでいるという方は、一度ご相談ください。
治療対象となる「痛み」の主な症状・疾患
- 腰痛
- 肩こり
- 五十肩
- 首の痛み
- 肘の痛み
- 膝の痛み
- 坐骨神経痛
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 頸椎症
- 脊柱管狭窄症
- 帯状疱疹後神経痛
- 頭痛
- 三叉神経痛
- 手足のしびれ
- 手術後の痛み など
当院で行う主な痛みの治療
仙骨ブロック注射
痛みがあるとされる部位の神経付近に局所麻酔薬を注射することで痛みの伝わる経路を遮断し、「痛み」を抑える治療法がブロック注射です。なお神経を傷つけることはありません。
この注射により痛みが緩和されるようになると血流は改善していき、筋肉のこわばりも解消するようになります。
また注射であるため、必要な部位にのみ直接的に効果を及ぼしますので、全身的な作用はありません。したがって麻酔薬を体内に注入したからといって意識にはほとんど影響しません。
トリガーポイント注射
トリガーポイントとは、押すと痛みが広がり、しこりのようになっている部分のことで、ここに局所麻酔剤を注射します。
人によって痛みを発する部分というのは、肩や背中、腰など様々ですが、トリガーポイントは、その周辺や、少し離れた場所に関連痛(放散する痛み)を発生させることがあります。
なお注射の際は、非常に細い針を用いるほか、刺入する深さも1センチ程度ですので、痛みを感じることはほぼありません。
痛みの除去が期待できますので、肩こりや腰痛などでお悩みの方にお勧めです。
薬物療法
痛みに関する治療で最も一般的に用いられているのが薬物療法です。
よく用いられる薬は、局所に効いて、優れた消炎・鎮痛効果がみられるロキソニン、ボルタレンといった消炎鎮痛薬です。
しかし、長期に使用すると胃腸障害、腎機能障害の心配があります。現在慢性疼痛薬、末梢神経障害性疼痛薬が、効果が期待されます。従来の鎮痛薬で改善ない場合は、ご相談ください。
衝撃波治療
拡散型体外衝撃波(BTL-6000トップライン)
皮膚の上(体外)から非連続性の圧力波である衝撃波を照射する治療です。治療中は痛みを感じることがあります。
原理
あえて組織を少し損傷させ、血流と代謝を増加させ、成長因子を増やし、細胞の増殖と移動を行い、組織修復・再生・回復を促します。また疼痛伝達物質を減少させる効果がある治療法です。
組織の変性や石灰沈着などの慢性化した治りづらい痛みもやわらげます。
主な対象疾患
【足部】足底腱膜炎、アキレス腱炎、アキレス腱付着部炎
【膝】膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
【肘】上腕骨外上顆炎(テニス肘)、内側上顆炎(ゴルフ肘)
【肩】肩関節周囲炎(慢性石灰沈着性を含む)、腱板炎
【筋】筋けいれん、肉離れ(急性期は除きます)
【その他】難治性の頚椎、腰椎、膝関節疾患、疲労性骨膜炎
治療の流れ
診察を行い、衝撃波治療を行うかどうかを相談します。
1回の治療は、3分~5分程度です。痛みを強く感じる部位(自発痛のある部位、触診による圧痛部位)を特定して治療していきます。
疾患や症状にもよりますが、2−7日あけて、3−5週間の通院治療を目標とします。治療中は多少の痛みを伴うことがあります。我慢できる範囲で出力を調節します
その他
治療中・治療後まれに痛みが強くなることがありますが、3日目には治療前より痛みは軽くなります。抗凝固療法行われている方などは、一時的に治療部が点状出血や赤くなることがありますし、皮膚が弱い方はご相談ください。骨端線への影響を考えて高校生(16歳)以上の方を治療対象とします。ペースメーカー装着者や妊娠中や発熱など体調不良の方、高度の骨粗鬆症の方などは禁忌とされています。
BTL-6000は、首から足底まで、様々な部位に効果を発揮します。
拡散型体外衝撃波は外科的手術が必要とされた患者様へのもう一つの新しい選択肢となっています。